
脊椎すべり症による神経圧迫 第二章
脊椎すべり症による神経圧迫 第二章
レントゲン撮影をしないと、患者の椎体がずれているのか確認することができないため、脊椎すべり症を予防することは難しいです。予防を目的に一般の人でも脊椎のレントゲンを定期的に撮影しておくべきかは意見が割れますが、大事なことは、もし背中の痛みが二週間以上続いたり、同じ側の足ばかり痛みが走ってふくらはぎがずっと痛むようなことがあれば、専門医に診てもらうべきです。
手術前と手術後の患者の脊椎の様子を比較する写真

手術前のレントゲン写真。前かがみの姿勢で第4、第5椎体のずれが認められる。

手術後の同じ患者の脊椎のレントゲン写真。(女性、56歳)
もしあなたの背骨がずれていても驚く必要はありません。あなたのやるべきことはそのずれの程度が大きいか、さらにずれる可能性があるか、背骨がまだ丈夫か、背筋はどれくらいあるか、そして背骨は日常的な活動にどれくらい長く耐えられるか、を知ることです。
脊椎すべり症の検査をする医師は、患者の腰周りの脊椎を支える筋肉(Paraspinal Muscle)の強さから、脊椎の靭帯や背筋の慢性炎症によって結合組織があるかどうか、結合組織がどこにあるか、神経線維が圧迫されることで足の筋肉が弱っているかまで調べる必要があります。
これらの情報は患者の日常生活と継続的な治療に反映されます。背中を使う活動にも注意が必要です。頻繁に背中を曲げたり反らせたりしてはいけません。また重いものを持ち上げたり、太ることも良くありません。骨密度を保つ努力をすること、そして、最も大切なのは丈夫な背筋のためにActive Training Muscle Exercise Typeという方法で正しく筋肉トレーニングをすることです。Active Training Muscle Exercise Typeは衰弱した筋肉を早く元通りに回復させる唯一のトレーニング法です。この筋肉トレーニング法については説明するのに時間がかかりますので、またの機会に詳しく説明したいと思います。

整形外科専門医 ソムサック ラオワッタナー医師による背筋のトレーニング法
椎体がまだ大きくずれていない場合は、普段通りの生活を送ることができます。しかし、もしあなたが体を大切にしないで、体重が増えたり、前述したアドバイスに従わなかったりすれば、年々背骨がずれていきます。神経が骨に圧迫される可能性も増えてきます。そして最終な治療法である手術をせざるを得なくなります。手術を受ける前に、手術におけるリスクを評価します。この評価検査は詳しい身体検査であり、内科医、心臓外科医、場合によっては患者の持病の専門医により行われます。最後には麻酔医からの評価があります。
脊椎すべり症の手術による治療は、大きく三段階に分けられます。

第4、第5椎体がずれて神経を圧迫している様子
第一段階(Reduction and Fixation Step) この段階の手術は問題のある椎体を固定して安定させ丈夫にします。また、特殊な金属(Medial Grade Metal)を使い、椎体を支えるような形でずれがあった椎体を元の位置に戻します。この段階での手術が成功するかどうかは金属による固定に耐えられるだけの骨密度があるかどうかにかかっています。骨密度に問題がある人、骨粗しょう症になっている患者では、金属の固定が不安定で骨の固定ができないため、第一段階の手術を受けることはできません。第二、第三段階の手術を行うことになります。

神経を圧迫していた椎体が除かれ、強さを補強するための金属がずれのあった骨の両側に設置されている。
73歳の患者で、手術後は脊椎が元の位置に戻り、背中がまっすぐに整復された。
第二段階(Decompression Step) この段階の手術は、神経を圧迫しているはみ出た椎体や結合組織を除去することが目的です。この段階の手術はとても大切です。血管が十分な栄養を神経細胞に運べるように、神経を圧迫するものを全て除く必要があるからです。この手術によって、炎症を起こしていた神経が早期に回復することができます。分離した椎体に圧迫されていた神経細胞を正常に回復させることを目的とした治療段階です。
第三段階(Fusion Step) この段階の手術は問題のあった椎体同士を骨片(bone Graft) でつなぎます。骨片(bone Graft) は第二段階の手術で取り出した骨か、人工骨(Synthetic Bone Graft)を用います。小さい骨を脊椎の間に配置し、ずれが生じる椎体の間を自然につなぐための糊の役割を果たします。これにより、背骨を数百倍丈夫にさせます。この段階の手術では注意する事項がたくさんあります。例えば、脊椎のどの辺りを繋げるか、何点、どの角度から繋げるか等です。この段階は不安定な二つの椎体を前より丈夫にさせることを唯一の目標にしています。よってこの段階は脊椎の安定化を作るための手術とも呼べるでしょう。
手術後最初の2-3日は回復のためにベッドで安静にします。その後はゆっくりと上半身を起こしてベッドにもたれかかることを始めます。そして少しずつ歩行の練習を始めます。入院期間は合計で5-8日になります。
退院して1か月間休養したら、リハビリを開始しましょう。Active Training Muscle Exerciseを真面目にやり、背筋を鍛えます。必ず継続し、怠けたり雑にやってはいけません。患者それぞれが、日常生活を送る上で必要とされる筋量を正しく維持することが大切です。手術で改善させられるのは、背骨と神経だけです。筋肉は改善させられません。毎日できるだけ背筋を鍛えましょう。そしてこれだけは忘れないでください。腰など他の部分の背骨はまだ大丈夫でも、日常生活を送る上で必要とされる筋量が維持できないと同じように椎体のずれを招き、手術がまた必要になるかもしれませんよ。
手術で背骨が頑丈になった後、神経が回復し筋肉が保たれると、手術前に比べ症状が劇的に改善します。ふくらはぎや背中の痛みなしに長距離を歩いたり長時間立っていたりすることができます。予想外かもしれませんが、人によっては再び好きなスポーツを楽しむことができます。
腰の痛みから解放されましょう

脊椎すべり症 第一章
脊椎すべり症 第一章

第4、第5椎体の間がずれている。
人間の背中を構成する様々な器官は、海上で風を受けているヨットの帆の部分と同じです。ヨットのマストを支えるピンと張ったロープのように、普段我々の背中が重力に逆らってまっすぐになっているのは、丈夫な脊椎とそれを支える背筋があるからです。

脊椎、背筋、背筋
海上に浮かぶヨットが風邪を受けるように、私たちの背中は日常生活の中で様々な負荷を受けています。しかし、朝起きてから眠るまで、私たちは自分の背中がどれくらい重労働をさせられているか、あまり気にしません。
腰の脊椎は5つの椎体が並んでできています。椎体と椎体は関節と靭帯によって丈夫に繋がっています。俯いたり、背中を反ったり、体をひねったりするとき、それぞれの椎体がうまく協調して動くため、分離したりずれたりすることはありません。

しかし、ある条件で私たちの椎体がちょっとずつずれることがあります。例えば、形成不全性脊椎すべり症(Dyspastic Spondylolisthesis)、 または分離性脊椎すべり症(Spondylolytic Spondylolisthesis) の患者では、成長につれ、椎体の間を繋げる関節が弱くなり、頻繁に背中へ震動を受けると椎体が少しずつ外れてきます。そのほか、脊椎を丈夫にする関節の劣化で形の変化が起きる変性性すべり症(Degenerative Spondylolisthesis)、衝撃が原因の外傷性脊椎すべり症(Traumatic Spondylolisthesis)、年齢に伴って骨が薄くなって起きる病的脊椎すべり症(Pathologic Spondylolisthesis)などの原因があります。また、一度受けた手術によって数年後に脊椎の揺らぎを招くこともあります。
また脊椎が足にまで伸びる神経の近くにあるため、脊椎すべり症が起きると神経細胞に栄養分を運ぶ血管に影響が出ます。少しの脊椎の変化でも患者に様々な症状を引き起こします。
脊椎すべり症による症状は以下通りです。

左足のふくらはぎの筋肉が顕著に萎縮している。
症状は、まず太ももの裏が張って痛くなることから始まります(Hamstring Tightness)。人によってはふくらはぎまで痛みが走ります(Radicular Pain)。椎体が大きくずれてしまった人では前かがみ姿勢がとれなくなります。また、長時間座った後、立ち上がるときにすぐに足を出して歩くことができず、暫く休んで背中が伸びるのを待ってからやっと前に足を出すことができます。背中が通常より反ったり、凹んだりすること(Hyperlordotic Curve)も観察されます。
脊椎がずれることで神経線維が長時間圧迫されると、患者はふくらはぎの痛みと麻痺によって長距離を歩くことができなくなります。そのまま治療せずに放っておくと、炎症と血管からの栄養分が不足することによって神経線維が壊れ、足の筋肉が萎縮し、力が入らなくなります(Muscle Atrophy)。

次回は脊椎すべり症を元通りに回復させる手術、脊椎すべり症の予防法、、治療法、そして新しい手術法についてお話をします。

バルーンを用いた脊椎圧迫骨折整復手術
バルーンを用いた脊椎圧迫骨折整復手術
この治療法は、圧迫骨折した背骨の中に細い管を通してバルーンを挿入し、膨らませることで椎体の凹みを元に戻した後、バルーンを抜き空いた空間にセメントを注入することで、骨を固める方法です。この方法の利点は切開する必要がないことです。

骨粗しょう症の危険性がある人は全世界で1億人いるとされています。アメリカだけでも4400万人がこの病気の危険性があると推測されています(2002年)。女性の方が男性より4倍多く、55歳以上の人が半数以上を占めています。年間200億ドルもの医療費がかかっており、驚くことにこの額は心臓病の治療費よりも高額です(治療費=病院で治療に実際にかかった費用+仕事ができないことによる損失)。
骨粗しょう症は年間150万人のアメリカ人男性の骨折の原因になっています。背骨の骨折が最も多く、年間70万人と言われています(骨粗しょう症財団National Osteoporosis Foundation調べ)。胸部より上の部分に脊椎骨折が起こると、胸腔へ障害が出ます。これによって呼吸時の肺容量が9%以上減少するため、高齢者では呼吸への障害が出てしまいます。
骨粗しょう症の患者は転んで尻餅をつく、車に乗っているときに激しく揺れる、体をねじるといった軽い衝撃で本人も気づかないうちに背骨の圧迫骨折を引き起こしてしまいます。正しく治療を受けなければ、数日~1週間程経ってから徐々に症状が出始めます。
症状は、腰が痛い、脇腹が痛いといったことから始まります。背骨のレントゲン写真にも、椎体がつぶれて薄くなる、背骨の弯曲がひどくなる、といった異常点が認められます。日常生活にも支障が出ます。布団から起き上がるのが辛い、痛くて体をねじることができない他、長距離長時間の歩行もできないです。使われないために骨の厚み、硬さが減少します。そのため他の部分の背骨でも骨折が起きやすくなります。肺の機能が低下してしまうために、肺の病気も増加することがあります。最終的には、死亡する危険性が23-43%も増加するのです。
脊椎圧迫骨折には4つの治療方法があります。
1.温存治療

十分に休息させ、消炎鎮痛薬を服用し、背中を保護する特殊な服を着ることで、背中の治癒を促し、背骨が自然に治るのを待つ方法です。しかしこの方法では、背骨は圧迫されつぶれたままで、背中の弯曲もそのままです。伸長が縮んだままで骨折前のようには戻りません。この方法の欠点は、患者の痛みが3-4か月続くことです。骨折が自然にくっつくまでの間、生活の質が低下したままです。そして治療の際に直面する最大の問題点は、骨折した部分が治る前に、知らず間に他の部分に新たな骨折ができることです。ちょうど、建物の真ん中の階が潰れて全体が斜めになって、他の階に余計に負荷がかかり、一か所に強い負荷がかかって他の階もそこに向かってつぶれてしまうようなものです。
2.手術による治療(Surgical Treatment)

手術前 手術後
手術による背骨の骨折治療では、金属製のプレートを使用し、つぶれた背骨をもとの形に戻します。この方法では、患者の背中の弯曲も改善します。最近まで長きにわたり使われてきた治療法です。つぶれた背骨を戻せる、神経への圧迫を解消して悪影響を防ぐ、といった利点があります。しかし、手術後皮膚や筋肉の痛みが強い、骨粗しょう症の患者では期待されるほど手術後の改善がない、持病によってはこの方法を適用できない可能性がある(Too Invasive and Poor Outcome in Osteoporotic Bone)といった欠点があります。
3.骨折部位にセメントを注入する方法

セメント注入前 ‐背中の弯曲 ‐12番目の椎体がつぶれている

セメント注入後 ‐背中の弯曲が改善 ‐つぶれた椎体が元の高さに戻っている
医療用に使われるセメントは工事に使われているものではありませんが、同じような性質を持っています。白色の粘り気のあるもので、時間が経過するにつれて硬く石のようになっていきます。この治療法では、つぶれた背骨にセメントを注入し、元の状態になるよう背骨を膨らませます。この治療法の利点は、切開する手術の必要がないこと、背中の痛みが早期に解消し普段通りの生活を送れるようになることです。欠点は、セメントが周囲に漏れ出して背骨同士を固めてしまい、つぶれた背骨を元に戻すことができなくなってしまうことです。
4.骨折部位にバルーンを挿入し、膨らませた後セメントを注入する方法


この治療法は、圧迫骨折した背骨の中に細い管を通してバルーンを挿入し、膨らませることで椎体の凹みを元に戻した後、バルーンを抜き空いた空間にセメントを注入することで、骨を固める方法です。この方法の利点は切開する必要がないことです。
バルーンを用いた脊椎圧迫骨折整復術後の小さな傷
小さな針のカテーテルを刺し、膨らませる前のバルーンを挿入します。治療の結果、骨折による圧迫の痛みを軽減できます。金属プレートを用いた手術のように、背骨の固定をするようなものではありません。背骨の凹みを改善し、弯曲を矯正できます。セメントを注入するだけの治療法と違い、セメントが周囲に漏れ出す危険性は少ないです。
バルーンを挿入しセメントを注入した一日後の患者の様子。患者は歩行可能で帰宅できる。
この方法の利点は、患者の痛みを速やかに改善させられることです。患者によっては、術後わずか1日で日常生活に支障なく活動でき、じっと我慢して寝ていなければならない頃に比べ痛みがない状態になります。他の手術に比べできる傷も非常に小さく、出血量も少ないです。骨折した後は痛くて寝たきりになりましたが、回復が早いために手術後は早期に日常生活に戻れます。
この方法の欠点は、機器が高価で使い捨てバルーンを使用するため治療費が高額になることです。また、手術中ずっとX線透視装置(X線を用いて骨の様子をリアルタイムで観察できる装置)を使用しますが、この装置はすべての病院にあるわけではありません。専門の外科医がいる場所でしかこの治療法はできません。
新しい経皮的椎体形成術(New Technique in Kyphon Kyophoplasty)
患者の経過観察と経験から、この手法で脊椎の圧迫骨折の良い治療成績を修めるためには以下の条件が必要です。
1.X線透視装置を2台使います。以前行われていた1台使う方法に比べ、早く正確に手術を実施できます。

2.バルーンの内圧を測定する新しい機器を使います。バルーンの容積を数字で表示し、より正確に膨らませることができ、過剰に膨らませることを防止できます。

3.膨らませる前のバルーンは小さな点にしか見えませんが、椎体の中に正確に挿入して膨らませるとことで骨の凹みを改善させることができます。

4.セメント注入にも新しい機器を使用します。椎体の中に注入したセメントの容積を計測し、注入圧力を調節できます。

この方法が最も安全性が高いと言っても、すべての患者に適用するわけではありません。すべての患者に適用できる手法というものは存在しないのです。まず担当の医師と相談しましょう。そしてもし可能なら、骨の強さを維持し、骨粗しょう症を防ぐ方法を探しておく方が良いでしょう。

腰痛解消の最終手段としての手術 第3章
腰痛解消の最終手段としての手術 第3章
腰のレントゲンを撮ると、普通の人のように真っ直ぐにならない、弯曲した背骨が写ることがあります。長期にわたり腰痛に悩まされている人は、骨が曲がっているせいだと思い、免許の有無に関わらずカイロプラクター(Chiropractors)のもとで背骨の指圧や牽引をしてもらおうとします。背骨を元通りに真っ直ぐにしてもらおうとするのです。しかし、このような思い込みは脊椎疾患の治療において多くの間違いを生んでいる原因になっています。
方法2.「背中の痛みは、背骨が曲がったり真っ直ぐではないために引き起こされるのではない、と理解することです。」背中が慢性的に痛む患者の中には、背骨が曲がっているせいだと誤解する人がいます。病院へ行き、腰のレントゲンを撮ると、普通の人のように真っ直ぐにならない、弯曲した背骨が写ることがあります。長期にわたり腰痛に悩まされている人は、骨が曲がっているせいだと思い、免許の有無に関わらずカイロプラクター(Chiropractors)のもとで背骨の指圧や牽引をしてもらおうとします。背骨を元通りに真っ直ぐにしてもらおうとするのです。しかし、このような思い込みは脊椎疾患の治療において多くの間違いを生んでいる原因になっています。
そもそも、普通の人がレントゲンを撮っても、真っ直ぐな背骨が写るわけではないのです。
腰痛がない人でもレントゲン写真を見ると背骨が真っ直ぐではなく、弯曲してしまっている場合も多いです。このような場合、医師は正常範囲、単なるバリエーションと考えます。人の体内の器官はすべての人で全く同じではなく、病気でなくとも人それぞれ違いがあります。例えば、腕の長さは人によって異なります。鼻の大きさもそうです。これは病気ではありませんので、時間やお金をかけて矯正をしようとしても、背中の痛みを治すことができません。
また、様々な原因で背中が一時的に弯曲することがあります。例えば、腰あたりの背筋の炎症、休眠不足、両側の背筋のバランスが悪いこと、等があります。これらの原因を正しく治すことができれば、背中の弯曲は元通りになります。しかし、もし背骨の指圧や牽引で背骨が元通りに真っ直ぐになると思い込んでいるなら、考え直す必要があります。背骨の指圧や牽引は逆に椎間板周辺や脊椎に大きく振動を与えます。ひどい背中の痛みを感じていても、実際には背筋に少し炎症があるだけの場合があります。原因が椎間板のずれによるものかどうかもわからずに、病院に行って背中のレントゲンを撮ると、背中が曲がっていると結果が出ます。それを見て驚き、方法1で述べたように休みを取らずに、ファッション誌や健康雑誌の宣伝を信じてカイロプラクター(Chiropractors)に背骨の指圧や牽引をしてもらうと、逆に悪い結果を招きます。ずれた椎間板がさらにずれ、場合によっては椎間板が割れてしまうこともあります。椎間板が割れると、背中から足まで激痛が走り、我慢できなくなって最終的に割れた椎間板を摘出する手術をしてもらうことになります。

(一時的に弯曲した脊椎)(永久的に弯曲した脊椎)
医療の世界では、背中を指圧押したり牽引したりする方法は積極的治療(Aggressive Treatment)と呼ばれます。背中や膝の痛みの原因が何かはっきりわからない間は、この積極的治療を医師が薦めることはありません。誤解に基づく誤った治療は、回復よりも症状を悪化させる可能性が高いからです。レントゲン写真を数枚撮影するだけで背骨が弯曲していることを原因と誤解し、指圧や牽引を行えば、背中の痛みを治せると考えてしまうのは合理的ではありません。なぜなら、休息が不十分で背骨が弯曲した症例では、5-7日間安静にするだけで背骨が元通り真っ直ぐになるからです。
背骨が曲がってしまうもう一つの理由は、骨の成長に伴う異常です。この場合は、背骨の疾患としてきちんと治療しなければなりません。もし正しい治療をしないと、成長に伴いさらに強く弯曲していってしまいます。背骨の左右の成長点が不均等で背骨の節の高さが揃わず、背骨が体の軸から斜めになってしまいます。このような疾患は成長が早まる時期、主に子供の成長期に多く認められる疾患です。この疾患による背骨の弯曲は大きく、背中の筋肉が強張る傾向があります。左右に背中を動かしても、レントゲン撮影をしたらそのまま弯曲して写ります。多くの場合、患者の肩甲骨の高さが異なり、両側の肩甲骨に手を当ててみると高さの違いを感じられるほどです。
自分の子供がこの病気かどうかを確認するのは簡単です。服を脱いだ後、子供に前かがみになり手を足の指に付けるよう指示します。子供の後ろから見て、肩甲骨付近の高さが左右で同じかどうかを確認します(下の図のように)。もし左右で差があるなら、この背骨の病気の可能性があります。急いで医師に相談しましょう。早いうちに治療を開始しなければ間に合いません。そのまま放っておいて身長の伸びが止まってしまうと、もう治療は手遅れとなり得ます。

面白いことに、近年の研究結果からは、この背骨の病気を治療する場合、指圧や牽引、背骨矯正の服も背骨を真っ直ぐに戻すには効果がないことが分かっています。時間と費用を浪費し、学校に行くときに毎日きついプラスチックの矯正をつけさせてかわいそうな思いをさせるだけです。
この背骨の病気では、強い背中の痛みが生じないこともわかっています。背中がきれいに見えない、身長が高くならないだけです。腰痛の患者の多くは背骨が弯曲し、ちゃんとした背骨に生んでくれなかったと父母を責めます。しかし、考え方を改めるべきです。残された時間を正しい治療に使いましょう。背中が痛い原因を正しく把握し、正しい治療法を選択して、手術以外に選択肢がなくなるほどひどくなる前に治しましょう。繰り返しになりますが、手術は腰痛治療の最終手段です。

腰痛解消の最終手段としての手術 第2章
腰痛解消の最終手段としての手術 第2章
最近の報告では、初めて椎間板がずれて神経線維を圧迫し、腰から足まで痛みが出た患者では、痛みを感じてから5-14日の間、横になってあまり身体を動かさないだけで治るとされています。体を大きく動かさないことで、椎間板が元に戻ることがあります。椎間板がもっとずれて神経線維を圧迫したり、椎間板が欠けるために引き起こされる症状の悪化がなければ、手術をしなくても95%は完治できます。


腰痛解消のために手術をしなくて済む12の方法
背中だけではなく足まで痛みが出る原因は、神経線維が椎間板またはささくれによって圧迫されるせいです。多くの人が最終手段として手術を受けざるを得なくなるのは、医師の色々なアドバイスを正しく実践できなかったためです。
これから紹介する12の方法は、ひどい背中の痛みを患っている人が手術を受けなくても完治できるのに役に立つものです。手術を避ける12の方法は、痛みの少ない人から、歩けない程の背中の痛みで、足のしびれや筋肉の萎縮が起きている患者にまで適応できます。最終的に手術せざるを得ない状態になった腰痛患者のデータを集め解析した結果、患者自身の間違った習慣によって症状の悪化を加速していることが分かりました。
12の方法は以下の通りです。
1.もし医者に休息をとるように言われたら、必ず休むこと。
現代の勤勉な人はちょっとした病気になっただけではあまり休暇を取らず、仕事の方を優先してしまいます。医師が休むようにと忠告してもあまり耳に入りません。しかし、ひどい背中の痛みが出た場合は、このような今までの考え方で同じ生活を送ってはいけません。
最近の報告では、初めて椎間板がずれて神経線維を圧迫し、腰から足まで痛みが出た患者では、痛みを感じてから5-14日の間、横になってあまり身体を動かさないだけで治るとされています。体を大きく動かさないことで、椎間板が元に戻ることがあります。椎間板がもっとずれて神経線維を圧迫したり、椎間板が欠けるために引き起こされる症状の悪化がなければ、手術をしなくても95%は完治できます。しかし、もし椎間板がずれたばかりの時期にちゃんと休まなければ、その後ひどい腰痛になる回数が増え、手術を受けなくても治る確率は下がり続けます。大変残念なことに、人によっては、自分の背中より仕事を心配したり、上司や同僚に遠慮したりするために、手術をしなくても治る確率は60%にまで下がってしまいます。

一方、もし背中の手術を受けなければならない場合、術後の回復に一ヶ月以上仕事を休まなければなりません。もし、最初に休むようにと医師に言われ、そのとき休暇を取っていれば、少々時間がかかっても、手術をせずに済んだかもしれません。
手術をしなくても、1-2週間横になるだけで、椎間板のずれによる神経線維の圧迫で生じる腰痛を95%完治できるのはなぜでしょうか。椎間板がずれて神経線維を圧迫し始めた頃、患者が座ったり、立ったり、歩いたりすることで、患者の体重が常に脊椎を押す状態になります。これにより椎間板にも常に圧力が加わり、横になる姿勢と比べて椎間板が縮小して元に戻ったり、炎症による腫れが治まる機会が少なくなってしまいます。
その結果、椎間板がずれてから2週間が経つと、ずっと腫れて炎症を続けていた椎間板は、永久的に神経線維を圧迫してしまいます。神経線維が広範囲に長時間圧迫されることで血流が悪くなってしまいます。周辺の神経線維まで栄養が運ばれなくなり、神経細胞がどんどん死んでいき、患者に重篤な症状が表れます。より広い範囲の足のしびれ、足に力が入らなくなって階段の上り下りができなくなる等があります。この段階になると、担当の医師は椎間板摘出手術を薦めることが多いです。なぜなら、そのまま更に放置すると、神経が元の状態に回復する可能性がさらに少なくなってしまうからです。また、手術をしても回復しないこともあります。
このように手遅れになる前に、もし医師に背中の痛みの治療として、仕事を休んで休息してほしいと言われたら、必ず休みましょう。

腰痛解消の最終手段としての手術 第1章
腰痛解消の最終手段としての手術 第1章
腰痛を防ぎ、脊椎の病気から脊髄の神経にまで悪影響を与えないようにするためには、12の方法が必要とされています。腰痛患者のデータを集め解析した結果、他に方法がなく手術せざるを得ない状況に追い込まれないためには、12の方法があることが分かりました。しかし、医学的知識のない友人を信じ、医師の勧める通りに実施しない等、正しく実施できないと意味がありません。


統計的に、子供から老人まですべての人は少なくとも一生に一度、強い腰の痛みを体験します。しかし、その一度がとても重要です。最初の一回目から正しく治療しないと慢性的な腰痛となり、症状も悪化します。薬での治療で治せないほどになると、手術しなければなりません。
強い腰痛が生じたときには特徴があります。体が固くなり、背中がこわばり、歩けない、長く立っていられない、無意識に少し体をひねったり前かがみになるだけでチクッとした痛みが走ったり、強い痛みが出ることがあります。ロボットのように体をこわばらせないと歩けない、足に筋肉がちぎられるような鋭い痛みが走ったり、太ももやふくらはぎがしびれたりすることがあります。
我々ヒトの背骨は帆船のマストに似ています。マストから両側にロープが張られているように、ヒトでは筋肉が背骨の両側についています。異常の多くは筋肉の炎症から始まります。背中の内部の筋肉、特に背骨を支える役割を果たす筋肉(傍脊柱筋群、Paraspinal Muscles)は背中の両側にあり、非常に重要な働きをします。この筋肉は脊椎のすぐ横に存在し、負荷がかかった時に椎間板が飛び出すことを防いでいます。しかし一部の人はこの筋肉をあまり意識せず、日頃から鍛えることはありません。この傍脊柱筋群が弱った時に、重いものをかがんで持つ、咳をする、大きなくしゃみをするといったことで脊椎へ過度の負荷がかかると、筋群が断裂し、強い炎症が起きます。負荷が非常に強い場合は、椎間板を押し出し脊髄の神経線維を圧迫するようになり、神経の炎症まで引き起こします。
神経から引き起こされ、足にまで至る背中の痛みと筋肉の炎症のみからくる背中の痛みを比較すると、以下のような違いがあります。
痛みは背中だけでなく尾てい骨や太もも、ふくらはぎまで到達します。
痛みは片側だけで、側が変化することはなく、右側が痛ければ右側だけがずっと痛みます。
しびれるタイプは2種類あり、感覚が敏感になるタイプ(知覚過敏、Hypersensitive Feeling)と長時間正座して足がしびれるようなタイプ(知覚鈍化、Hyposensitive Feeling)があります。

皮膚も同様で、皮膚が厚くなったように感じ、針が刺さっても痛く感じにくくなり、局所的なしびれが出ます。足全体ではなく、太ももの一部がライムくらいの大きさだけしびれ、悪化していくとその範囲が拡大していきます。
足の筋肉に力が入らずびっこを引いたり、膝や足首が脱力して、段差につまづきやすくなり転んでしまうことが増えます。よく観察すると片側だけ筋肉が衰え、もう片側より細く小さくなっていることもあります。こうなっている患者ではすでに慢性的な病気の状態で、脊髄の神経細胞はすでに多大な損傷を受けています。脊髄への神経伝達や筋肉への伝達が弱まり、長時間立つと筋肉の伸縮ができなくなり、筋肉が動かず、筋線維の萎縮を招きます。
最終段階では脊髄が制御している自律神経が侵され、排尿排便ができなくなる、汗の量が減少するなどの症状が現れます。この状態になると、治療しても元の状態に戻る可能性は非常に低くなります。
腰痛を防ぎ、脊椎の病気から脊髄の神経にまで悪影響を与えないようにするためには、12の方法が重要です。腰痛患者のデータを集め解析した結果、他に方法がなく手術せざるを得ない状況に追い込まれないためには、12の方法があることが分かりました。しかし、医学的知識のない友人を信じ、医師の勧める通りに実施しない等、正しく実施できないと意味がありません。
それでは、この12の方法について一つずつ説明していきます。手術は腰痛解消の最終手段です。
