
脊椎すべり症 第一章

第4、第5椎体の間がずれている。
人間の背中を構成する様々な器官は、海上で風を受けているヨットの帆の部分と同じです。ヨットのマストを支えるピンと張ったロープのように、普段我々の背中が重力に逆らってまっすぐになっているのは、丈夫な脊椎とそれを支える背筋があるからです。

脊椎、背筋、背筋
海上に浮かぶヨットが風邪を受けるように、私たちの背中は日常生活の中で様々な負荷を受けています。しかし、朝起きてから眠るまで、私たちは自分の背中がどれくらい重労働をさせられているか、あまり気にしません。
腰の脊椎は5つの椎体が並んでできています。椎体と椎体は関節と靭帯によって丈夫に繋がっています。俯いたり、背中を反ったり、体をひねったりするとき、それぞれの椎体がうまく協調して動くため、分離したりずれたりすることはありません。

しかし、ある条件で私たちの椎体がちょっとずつずれることがあります。例えば、形成不全性脊椎すべり症(Dyspastic Spondylolisthesis)、 または分離性脊椎すべり症(Spondylolytic Spondylolisthesis) の患者では、成長につれ、椎体の間を繋げる関節が弱くなり、頻繁に背中へ震動を受けると椎体が少しずつ外れてきます。そのほか、脊椎を丈夫にする関節の劣化で形の変化が起きる変性性すべり症(Degenerative Spondylolisthesis)、衝撃が原因の外傷性脊椎すべり症(Traumatic Spondylolisthesis)、年齢に伴って骨が薄くなって起きる病的脊椎すべり症(Pathologic Spondylolisthesis)などの原因があります。また、一度受けた手術によって数年後に脊椎の揺らぎを招くこともあります。
また脊椎が足にまで伸びる神経の近くにあるため、脊椎すべり症が起きると神経細胞に栄養分を運ぶ血管に影響が出ます。少しの脊椎の変化でも患者に様々な症状を引き起こします。
脊椎すべり症による症状は以下通りです。

左足のふくらはぎの筋肉が顕著に萎縮している。
症状は、まず太ももの裏が張って痛くなることから始まります(Hamstring Tightness)。人によってはふくらはぎまで痛みが走ります(Radicular Pain)。椎体が大きくずれてしまった人では前かがみ姿勢がとれなくなります。また、長時間座った後、立ち上がるときにすぐに足を出して歩くことができず、暫く休んで背中が伸びるのを待ってからやっと前に足を出すことができます。背中が通常より反ったり、凹んだりすること(Hyperlordotic Curve)も観察されます。
脊椎がずれることで神経線維が長時間圧迫されると、患者はふくらはぎの痛みと麻痺によって長距離を歩くことができなくなります。そのまま治療せずに放っておくと、炎症と血管からの栄養分が不足することによって神経線維が壊れ、足の筋肉が萎縮し、力が入らなくなります(Muscle Atrophy)。

次回は脊椎すべり症を元通りに回復させる手術、脊椎すべり症の予防法、、治療法、そして新しい手術法についてお話をします。
